きれいな指。




細くて長かった手の指が、役立ったのは、
出版関係の仕事を始めてから。

「あんた、編み物できる? 
 できるなら、手元だけだから、撮影を手伝って!」

その熟年編集者のひとことで、社内スタジオへ。
女性誌の契約社員時代のことです。

できたんですよね、編み物。母に教わっていて。
だから、とどこおりなく、撮影は終わりましたとも〜。

当時の女性誌ファッション界の三婆と呼ばれた大御所のおひとりに、
ずいぶん目をかけていただきました。

わたしが初めて手にしたエルメスのスカーフ(カレ)は、
その方からいただいたもの。
「醤油のしみ、つけちゃったのよ。だから、よければ使って」
そんなのくださるための口実で、ただただ感謝感謝。

それから、手指をかなーり意識(笑)。
皮膚が弱くて、洗剤でかぶれるので、洗い物は必ずゴム手袋着用。
各部屋と、バッグにハンドクリームを備えて、
こまめにつけて、コンディションを保ってきました。

が…、中高年になって発症するという遺伝的な病気で、
指の第一関節が曲がるようになってきたのが、ほんの数年前…。
女親からしか遺伝しない病気だそうです。

で…、自分のなかで唯一の自慢だった指が、
日々、見るも無惨な状態に変わり、痛みも伴い、ショックでした。

ま…、でも、しようがないので…。

受け入れてはいますが、10指の一本ずつが、段階的に変化して、
なにより痛いのが、憂鬱のタネです。

雪かきするたび、この指が痛んで、悪化するのも悩み。

つい最近、ほっそり指の革手袋をデパートではめてみたとき、
入らなかったのが、生まれてからいちばんの容姿関係のショックかなぁ。

冬になり、ガッサガサで、曲がっていく指を見ながら、
こうやって「おんなのひと」でなくなっていくんだなぁと思い。

この遺伝子をくれた母いわく、「そうそうすごく痛いよね」って、
めっちゃゆるい反応で、相変わらず、強い人だわ、と(笑)。

不格好な姿になっちまいましたが、よく働く指。
わたしの心を代弁してくれる、大切な大事な指なのです。

がんばれ〜。
by aomoringo50 | 2012-12-27 19:18 | 雑記