おねだり。






わたしが食事をしていると、姫が真っ先にそばに来て、
愛らしい鳴き声でおねだりをする。

キュイーン、それを、アタチにもくださいな。
キュイーン、おいしそうな匂いですね。一口くださいな。

それだけはなんねぇ。どんなに可愛いアンタでもな。
急にやくざちっくな口調になって、わたしは拒絶する。

だって、玉ねぎがどっさり入っているのさぁ〜。
基本、わたし、ねぎ&にんにく&刺激物、大好きなのさぁ〜。

犬には毒な、命に関わる食材ばかり。
すまぬのぉ…テーブルフード(人間の食事)は、毒なのさ。

果物とか、大丈夫な野菜とか、味つけしないで加熱した肉とか、
そういうものは分け合って食べることもあるけどね。

こういうことをしていると、まるで親子みたいだと思う。
お酒や、塩辛や、大人の味のいろいろは、あげられないよって。

もっとも、大人になった人間は、ガンガン口にできるけど、
ちびたちは、永遠に、わたしの子どもだから。

どんなに、おねだりされても、ダメなものはダメ。
躾として、それが、正しい。

躾。この字が表すところはまさに、
美しい生きざまと見事にリンクする…。

今日は、朝から一貫して、それについて考える日なのかと。
姫さま、ならぬものはならぬ、のです。